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ジャズ100本ノック !!

  マイ・ロマンス/トーマス・フィンク・トリオ
My Romance/Thomas Fink Trio
(ATELIER SAWANO AS-033)
1.My Romance(5:41) 2.On B. R. Centre(3:07) 3.If I Should Loose You(5:01) 4.My Foolish Heart(4:48) 5.Groovin' At Lang's Place(2:57) 6.TDI Blues(5:07) 7.Autumn Feeling(5:16) 8.Tom's Waltz(4:38) 9.Moon River(3:09) 10.All The Things You Are(7:23) 11.Blue Bossa(2:54) 12.Basin Street Blues(5:50) 13.Turn Out The Stars(4:24)

澤野工房の「ATELIER SAWANO」レーベルからの一枚。「ATELIER SAWANO」の特徴はなんといってもピアノトリオであるが、どれも品が良く、甘美な作品だ。メジャーレーベルであまり弾いていないピアニストが登場するので、事前情報や周辺情報なしにCDと対面することになる。このディスクはドイツのピアニスト、トーマス・フィンクがリーダーを務めるピアノトリオ作品。2003年7月の録音で、メンバーは、Thomas Fink(p)、Johannes Fink(b)、Heinrich Kobberling(ds)。写真で見ると、トーマス・フィンクは年配で年相応の小太りな体型をしていて、少し禿げあがった頭と白いひげ、横長の楕円のめがね、そして人なつっこい笑顔を浮かべている。
最初の曲「My Romance」は、かなりゆっくりとしたバラードのピアノソロから始まる。リズムを一定にせず、気持ちの行くまま弾いているような感じを受ける。ベースとドラムが加わるとミディアムテンポに転じ、少しやんちゃになる。中盤から終盤では、スピードがさらに増し、勢いを感じる。ドラムのシンバルワークがよく、耳に心地よい。3人の演奏が再び始まり、ベースのソロに入る。ベースの音に深みが無く、物足りない。ラストに向けて徐々にスピードを落とし、最後は軟着陸する。
「On B.R.Centre」は、サンバのリズム。タテノリさせてくれる、明るく楽しい曲だ。ピアノの「ジャン」と弾く和音とベースの音がタイミングばっちりで、グッと曲に引きつけられる。ルールが無いようなあるような、トリオのそれぞれが奔放な演奏を繰り広げる。
「If I should loose you」は2拍子のリズム。このリズムがトリオ全体でピタッと合っていて、ここではチームワークの良さを感じさせる。
「My foolish heart」もバラードとして上出来の作品。甘くて暖かく、ストレスやプレッシャーでガチガチになった心をフッと解きほぐしてくれる。澤野工房作品の特徴にあてはまる曲調だ。
「Groovin at Lang's place」はミディアムテンポの曲で、技術うんぬんよりも人間性を感じさせる。この曲ではベースもなかなかの演奏で、ドラムの技術は引き続き安定していて安心できる。
「TDI Blues」ではピアノもベースも力強い音になっていて、グイングインとスイングさせている。ドラムソロは硬めの音で、ガツンとくる。こういうガツンとした音は個人的に好みなタイプだ。中盤に来て、リラックスした心にさらに揺さぶりを掛けてくる。ディスク構成の罠にはまってしまった感があるが、なんとも気持ちよい。
「Autumn feeling」も大きめの音で強気の攻め。ガンガンくる。これのどこがAutumn?。聴く前の予想を大きく裏切る。それでも好演なのでリスナーとしては満足だ。
「Tom's Waltz」はタイトルの通りワルツだが、一定のリズムではなく、その時々で揺らぎがある。さらにリラックスしてきた。音楽を聴く楽しさ、喜びを再認識させてくれた。
ここまで来ると、おなじみの曲「Moon River」はだいたい予想がつく。と高をくくっていたら、予想を上回る出来だ。イントロのテロテロとしたピアノに、ベースのボウイング演奏、ブラシを使ったドラム、この組み合わせが素晴らしい。やられた。曲中でもピアノは安定している。そしてドラムがやっぱりうまい。
「All the things you are」に来ると、今までのリラックスムードから生真面目ムードになる。何がそうさせているのか説明しにくいが、曲全体に緊張感を感じる。
「Blue Bossa」はボサノバだけど、どこかで聴いたメロディー。ああ、「カナダからの手紙」と同じメロディーだ。おそらく偶然に似たのだと思う。ケニー・ドーハムの作曲だし。
「Basin Street Blues」はスイングさせてくれる曲だが、ピアノの力を入れるところと抜くところが絶妙で、曲調に合っている。ピアノがメインの場面では、ベースが遅れまいと必死にすがっている。しかし3人での演奏となるとしっくりとしている。
「Turn out the stars」はラストの曲にふさわしく、落ち着いている。前曲と同じく、3人で演奏したときのバランスがよい。今までの音の世界から現実世界へとだんだん引き戻されていく。
この一枚で、これほどまでに気持ちよくさせてくれるとは思ってもいなかった。




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