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ジャズ100本ノック !!

Amazonへ 危険な関係のブルース/ワン・フォー・オール
NO PROBLEM/ONE FOR ALL
(VENUS TKCV-35322)
1.The End Of A Love Affair(7:34) 2.Stolen Moments(7:12) 3.Corcovado(6:20) 4.How Are You ?(8:51) 5.Shinjuku Waltz(7:22) 6.Skylark(6:05) 7.The Eyes Have It(8:53) 8.Street Of Dreams(6:09)

ワン・フォー・オールというユニットは、ピアノ+ベース+ドラムで構成される基本的なピアノトリオに、テナーサックス、トランペット、トロンボーンのホーンセクションを加えた6人編成になっている。トロンボーンを加えない5人編成のユニットはよくあるが、ここであえてトロンボーンを加えているところが聴きどころであり、勝負の分かれ目である。メンバーは、エリック・アレキサンダー(ts)、ジム・ロトンディ(tp)、スティーブ・デイヴィス(tb)、デヴィッド・ヘイゼルタイン(p)、レイ・ドラモンド(b)、ジョー・ファンズワース(ds)。
「アワ・ファザー・フー・アート・ブレイキー」は、名ドラマーであるアート・ブレイキーに捧げた曲で、ジョー・ファンズワースの作曲。6人による息の合った出だしから始まり、トロンボーン、テナー、トランペットという順にソロ演奏を行っている。ここではエリック・アレキサンダーによるテナーソロが一枚上を行っている。近年の人気の高さを裏付ける形だ。バックの演奏に回っているピアノトリオは実に安定していて、ノリの良いグルーヴを作っている。しかしソロとなると、デヴィッド・ヘイゼルタインのピアノソロは勝手に我が道を行き、ベースとの音のずれを感じさせる。ジョー・ファンズワースのドラムソロもあまり面白くない。このピアノトリオはソロには向かないようである。
表題曲「危険な関係のブルース」は、3管のハーモニーがよく、6人編成であることの有用性を物語っている。ここでもやはりエリック・アレキサンダーが図抜けていて、彼名義のアルバムと言ってもいいくらいである。ピアノソロは危なっかしくてハラハラさせられる。
「モーニン」はファンキー・ジャズの代表曲。全体的にもっさりとした、だるいテンポ演奏で始まる。最初のソロはジム・ロトンディのトランペットだが、ファンキーな演奏で良い。この曲でのだるさに緊張感が加わったようだ。また、トロンボーンの音色が、トランペットとピアノトリオの橋渡し役として上手く作用している。3曲目にしてベースソロがようやく登場。こうして単独で聴いてみると、レイ・ドラモンドのベースはぶれがなく安定している。今まで他の楽器にまぎれていたのだが、縁の下の力持ちとしてしっかりと役目を果たしていたのだ。
「ウィスパー・ノット」は、ホーンセクションによる絶妙なハーモニーが楽しめる。3人が次から次へと出たり入ったり、そしてまた抜けるといった風に、かわるがわる主役と脇役が入れ替わっていくのだ。
「雨月」では、全編にわたってトランペットが主メロディーを演奏している。これがうっとりするほど美しい。ピアノソロのメロディーも、花びらがひらひらと舞うような、控えめでロマンチックな印象を受ける。デヴィッド・ヘイゼルタインの汚名返上か。
「タイム・オフ」は高速テンポのファンキー・ジャズ。ジョー・ファンズワースのたたくシンバルが鳴りっぱなしである。汗だくでスティックを振るっている様子が想像できる。各人が超絶技巧の限りを尽くしていて、聴いてるほうも熱くなる。中でもジム・ロトンディのトランペットソロには強いインパクトを受ける。ジョー・ファンズワースのドラムソロでは、スネアドラムをダダダダダと連打連打。今まで叩いていなかった回数もおまけで叩いているかのようだ。
「プレリュード・トゥ・ア・キス」はロマンチックなバラード曲で、ピアノとテナーの織りなすハーモニーが気分を良くしてくれる。デヴィッド・ヘイゼルタインはバラード向きと見た。エリック・アレキサンダーはさすがの一言。彼のテナーは横綱相撲で、ファンキーでもバラードでもいける。じっくりとしたベースソロも巧い。レイ・ドラモンドという彼の名前を今まで知らなかったのはなぜだろう?こんな味わい深いベーシストがこんなところにいたなんて。
彼らのユニット名を冠した「ワン・フォー・オール」という曲はクライマックスにふさわしく、全員大合奏のファンキーな曲である。ファンキー・ジャズに彼らが軸足を置いているということがわかりやすく表現されている。
全体を通して、トロンボーンとベースが陰の役者として活躍していたという印象だ。各楽器の音色の隙間を埋め、音の世界に一体感を生み出していた。特にトロンボーンの存在は、6人編成というメリットを最大限に生かした格好となった。




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