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ジャズ100本ノック !!

  ライブ・イン・ジャパン・2003/ジ・アート・オブ・スリー(ビリー・コブハム、ケニー・バロン、ロン・カーター)
LIVE IN JAPAN 2003/THE ART OF THREE
(SOUND HILLS SSCD-8124)
1.I Mean You(7:43) 2.Bouncin' With Bud(7:33) 3.Autumn Leaves(9:46) 4.Out Of Nowhere(7:40) 5.Body And Soul(12:21) 6.Stella By Starlight(10:02) 7.Round Midnight(10:58) 8.Tour De Force(8:26)

「THE ART OF THREE」とは、ビリー・コブハム(ds)、ケニー・バロン(p)、ロン・カーター(b)の3人による特別ユニットの名称である。ビリー・コブハムが呼びかけ、ドイツで「THE ART OF THREE」というアルバムが制作された。
今回取り上げるのは、「THE ART OF THREE」と銘打って2003年にジャパンツアーが行われた様子を収録したディスクである。私が行ったのは札幌公演であるが、このディスクに収められているのは同ツアーの大阪公演の様子である。この企画の元となったディスクも素晴らしいのだが、音質的にライブ盤の方が素晴らしいのでこちらを取り上げる。
このユニットの素晴らしさは、個々人がそれぞれの楽器を代表する第一人者であることと、それを鼻にかけずに攻め一辺倒で演奏する音の凄まじさにある。3人の出す音の特徴として一致するのは、ノリの効いたシャツのように、パリッとメリハリがついていることである。
1曲目と2曲目にそれぞれセロニアス・モンク、バド・パウエルの作曲によるスタンダードナンバーが取り上げられているが、そのピアノの音をぶち壊すようにビリー・コブハムがスティックを振りかぶってドラムに叩きつける。シンバルの音は「カーン」ではなく「バシャーン」である。この音に負けないようにケニー・バロンもロン・カーターもアグレッシブに演奏するものだから、音の迫力たるや聴いてもらわないと分かってもらえないレベルに達している。ピアノの鍵盤の叩き付け方はすごいし、ベースの弦の揺らぎ方も目に見えるようである。3人が妥協も調和もしようとせず、それぞれの楽器でパワー全開の演奏をする。それでいて、目指す音楽が同じ方向を向いているから、いつの間にかトリオの音が一体となって聴くものに迫ってくるのだ。
3曲目はおなじみ「枯葉」だが、ケニー・バロンのテーマの崩し方が粋で格好いい。都会的に洗練されている。そして、定番のメロディーから発展する後半の発想が素晴らしく、音の世界の広がりを感じさせる。そして、ロン・カーターのベースソロ。さすが世界一のベーシストである。これが聴けただけでもこのライブのお土産として充分だ。ああ、ロン・カーター、目の前で弾いてくれてありがとう。一生忘れない。ロン・カーターのベースのどこが素晴らしいかと言えば、持って生まれた身長の高さと指の長さを生かし、ウッドベースをまるでギターを立てかけたように演奏するのである。長い指でしっかりとホールドされた弦は、安定したベース音を送り出す。
4曲目の「アウト・オブ・ノーウェア」では、ビリー・コブハムのドラムソロが聞き物である。実際に目で見てきたので言えるのだが、スネアドラムを片手トリルでダララララ…と力強く連打するのだ。これにはビックリした。
「バラードもできるんだぞ」と言っているような5曲目の「ボディ・アンド・ソウル」。技術や力量に余裕があるから、しっとりとして脂が乗った演奏を小手先でいとも簡単にこなしてしまう。余裕綽々。
ミディアムテンポの6曲目「星影のステラ」。ロン・カーターのベースによるグルーヴが快調で、これに身を任せて気分良く聴くことが出来る。中盤のベースとドラムの掛け合いが面白い。
「ラウンド・ミッドナイト」は、ケニー・バロンの円熟のピアノプレイ。聴かせます。
ラストはアンコール「トゥア・デ・フォース」で大団円。やっと3人が一体となった演奏をする。
傑作が少ない近年の中で、まれに見る突出した傑作である。しかし入手はもう難しいであろう。




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