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ジャズ100本ノック !!

Amazonへ 枯葉/サラ・ヴォーン
CRAZY AND MIXED UP/SARAH VAUGHAN
(PABLO VICJ-23568)
1.I Didn't Know What Time It Was(4:01) 2.That's All(4:04) 3.Autumn Leaves(5:35) 4.Love Dance(3:25) 5.The Island(4:29) 6.Seasons(5:19) 7.In Love In Vain(3:10) 8.You Are Too Beautiful(3:37)

女性ヴォーカリスト、サラ・ヴォーンによる1982年3月録音の作品。このディスクは名盤として名高い。他のメンバーは、ジョー・パス(g)、ローランド・ハナ(p)、アンディ・シンプキンス(b)、ハロルド・ジョーンズ(ds)。
「時さえ忘れて」は、ローランド・ハナの素朴なピアノから始まるが、他のメンバーが加わったとき音楽に高級感がグッと増す。ベースのアンディ・シンプキンスによる隠れたファインプレーだ。サラ・ヴォーンのヴォーカルは、まずは挨拶がわりといったところで特筆すべきところはなく、まだ本領を発揮していない。
「ザッツ・オール」も、バックのアンサンブルが地味に素晴らしい。ローランド・ハナのピアノソロも力が抜けていて、気分良く聴くことが出来る。ベースはここでも素晴らしい。サラ・ヴォーンは、歌い上げるというよりも語りかけるような歌い方で、セリフに演技を付けて歌っているような感じがする。
このディスクのメインである「枯葉」。冒頭ではジョー・パスが華麗なギターテクニックを披露。それを引き継ぐように、サラ・ヴォーンご自慢のスキャットが炸裂する。スキャットのボキャブラリーの豊富さ、表情の付け方、回転の速さ、どれをとっても素晴らしい。彼女を超えるスキャットをできるヴォーカリストはいないのではないだろうか。サラ・ヴォーンが歌っていないパートが貧弱に聞こえないのは、ジョー・パスのギターが素晴らしいからである。ギターを使ってスキャットをしているかのように、早くて細かいフレーズを次々と繰り出している。あらら、サラ・ヴォーンは最後までまともな歌詞を歌わなかった。スキャットだけで一曲聴かせるのは凄い。
「ラヴ・ダンス」は、しっとりとしたバラード。サラ・ヴォーンの声は絹のようにやさしく、丁寧にそっと歌っている。恋愛を語る吟遊詩人のようである。ローランド・ハナのピアノがこれまた叙情的だ。ジャズによくある、夜のバー向けのバラード曲であった。
「ジ・アイランド」では、声量を持っているサラ・ヴォーンが、あえて細い声で歌っている。細く歌っていても、声量に余裕のあることが十分に感じられる。この曲もバラードだが、「ラヴ・ダンス」と違って、とてもサッパリとしていてドライだ。この曲と比べると「ラヴ・ダンス」がいかに神経を使って歌っていたかがよくわかる。ラストの長尺ビブラートも聴き応え充分。
「シーズンズ」は、私でもわかるような簡単な英単語を並べて構成された歌詞である。ひと単語ごとに強弱や高低を使い分け、丁寧に歌っている。簡単な言葉であるほど歌による表現は難しいのだろうが、それを微塵も感じさせない歌唱である。サラ・ヴォーンが底力を見せた一曲だ。
「イン・ラヴ・イン・ヴェイン」でサラ・ヴォーンは貫禄を見せつけている。今まで抑え気味だった分、ラストでガツンとしたパワーのある歌い方をした。この曲では、アンディ・シンプキンスがベースソロを披露。このベーシストはノーマークだったが、予想以上にすごい。
「ユー・アー・トゥー・ビューティフル」で、サラ・ヴォーンはボリュームのあるドスの利いた低音を聴かせている。かと思えば、高い声も時折顔を覗かせる。なんといってもビブラートの空気振動が、ウィンウィンとうなりをあげている。わざとビブラートを効かせると嫌味に聞こえるヴォーカリストも多いが、彼女のは全く嫌味ではなく、むしろ心地よささえ感じる。
このディスクでサラ・ヴォーンは、あまり大きな声を出さず、静かに語りかけるように歌いきった。持っている地力をあえて出さずに勝負したところが、逆に地力を見せつける結果となったようだ。




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