主役はロン・カーター(b)である。エリック・アレキサンダー名義になっているではないかと言われるかもしれないが、このアルバムで重要なポジションを占めているのはロン・カーターだと断言できる。
エリック・アレキサンダーが嫌いなわけではない。むしろこのアルバムがきっかけで、彼のディスクを集め始めたくらいだ。
しかし、彼の他のディスクとは決定的に違う何かをこの「ナイト・ライフ・イン・トーキョー」に感じてしまった。
しばらくは原因が何であるかわからず、気のせいかと思った。
エリックの脇をつとめるのは、彼のカルテットでは常連であるハロルド・メイバーン(p)とジョー・ファンズワース(ds)。
他の作品とは違うのが、普段ベースを務めるはずのナット・リーヴスではなく、ロン・カーターであるという一点だ。
1曲目のNEMESISから、ズンズンと前のめりになって攻めてくるリズム感、グルーヴにしてやられる。これを生み出しているのが
ロン・カーターというわけだ。
決してナット・リーヴスが下手なわけではない。エリックの他のアルバムではしっかりポジションを務めている。
もちろん、名義になっているエリック・アレキサンダーのテナープレイもしっかり聞いてほしい。彼のテナープレイは、ソニー・ロリンズを彷彿とさせる豪快さが特徴だ。